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ハワイは太平洋のほぼ真中に火山活動によってできた、大陸から最も離れた島です。東京からは6160km、アメリカ西海岸からは3900kmの距離があります。したがって、ハワイにはもともと動植物は存在していなかったのです。それでは現在ハワイで見られる動植物はどのようにしてハワイへやってきたのか?動物は空を飛んできたり、海を泳いで渡ってくるなど容易に想像できます。ハワイの固有の哺乳類はハワイモンクアザラシとハワイオオコウモリの2種類のみです。どちらも自力でハワイへ来ることができます。それでは自力で動くことができない植物や飛んだり泳いだりすることのできない動物はどのようにしてハワイへやってきたのでしょうか?
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風と海流と鳥 最初にハワイにやってきた動植物は英語で3Wといわれる方法で、ハワイへ漂着したと考えられています。3Wとは、風( Wind )、鳥( Wing ), 海流 ( Water )の3つです。風に乗ってハワイまでたどり着いた種子や胞子、鳥の体や足に付着していたもの、糞の中に入っていた種子、海を流れてやってきた流木とともに流れてきたものです。コケ類、シダ類の胞子は風に乗って広がっていきます。ハワイ島の冷えて間もない溶岩に最初に生えてくる植物はコケ類とシダ類です。そのあとにオヒアレフア( ハワイフトモモ )で、その種子は風に乗って移動しやすい構造となっています。毎年何千羽というカモがハワイを通過します。こういった渡り鳥の移動もハワイに植物の種子を運んできたと考えられています。ワイキキにココヤシがたくさん植えられていますが、ヤシは人間が持ちこんだ植物で、海を漂流して来たものではないとされています。周囲約4000kmに大陸のないハワイは種子が流れつくまでには非常に長い時間海水に浸っていることになり、それに耐えてハワイ上陸後に発芽できるものに限られてしまいます。海を漂流してきたと推測される代表的な植物にはナウパカ( クサトベラ )、ハラ( タコノキまたはアダン )などがあります。このようにしてハワイに定着した動植物は、植物約275種類、虫は250種類、かたつむり類25種類、鳥15種類と推定されています。 |
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海流に乗ってハワイへ到達したとされるハラ。世界中の熱帯、亜熱帯の島で見られる。日本では小笠原、沖縄に分布。 学名Pandanasu
tectorius
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ハワイ固有種への進化 このように風、海流、鳥のいづれかの方法でハワイに漂着し、その後定着することができた植物の多くは、ハワイの環境に適応し進化していきます。進化の特徴のひとつが、刺、毒、刺激臭といった防衛機能が退化していったことがあげられます。これには先ほどの3Wと関係があり、限られた動植物しかハワイに定着てきず、特に草木を餌とする大型の動物がいなかったためです。このようにハワイの環境に適応し、姿を変えていった植物がハワイの固有種です。人間が来る前のハワイの植物は、90%が固有種でした。漂着したときとおなじ姿のまま、進化しなかった植物もあり、これらはハワイ以外の場所、多くは東南アジア、南太平洋の島々で見ることができます。遺伝子の研究から、ハワイの動植物のほとんどはインド、マレーシア周辺の東南アジアを起源とすることがわかっています。ハワイに漂着したあとも、主要ハワイ諸島で一番古い島であるカウアイ島から、次に誕生した島へと広がっていきました。したがって、各島固有の動植物がいます。こうして人間が定住する以前のハワイの動植物は進化して固有種( endemic )となったものと、進化しなかった原生種( indegenous )の2つに分けることができます。 |
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ハワイ原生のシダ「ウルへ」が茂る斜面に立つハワイ固有のアカシア「コア」 学名 Dicranopteris
linearis 学名Acacia
Koa
ハワイ名 Koa マメ科 |
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ハワイには蛇がいない 「ハワイには蛇がいない」という話しはハワイに一度でも訪れた方は聞かれたことがあるとおもいます。もともとハワイには爬虫類、両生類( 海亀、ウミヘビ以外 )はいなかったのです。これらの動物は3Wのどの方法でもハワイに来ることができなかったのです。現在は、近年人間によって持ち込まれた爬虫類、両生類が野生化しています。蛇の侵入に関しては非常厳しく監視されているため、未だにハワイには生息はしていません。実際にはフィリピンから輸入された植物の鉢の土といっしょにハワイへ入ってきた、体長20cmほどのメクラヘビ1種が生息しています。メクラヘビはシロアリなど小型の虫のみを捕食するため人畜無害です。( ウミヘビがハワイの海へ流れてくることは稀 )最も身近な爬虫類はヤモリです。ヤモリのいない家はないといっても過言ではないほどです。ヤモリはゴキブリ、アリなどを食べてくれますので、人間にとっては有益です。そのほかのヤモリ数種類、ジャクソンカメレオン、アノールトカゲなどトカゲ数種、ヤドクガエル、ウシガエル、ヒキガエル、日本から害虫駆除目的で移入されたツチガエル、最近、マウイ島でグリーンイグアナが増えてきているということです。因みにグリーンイグアナは草食ため、人間家畜には害はありません。これらすべての爬虫類と両生類は人間によって持ち込まれました。 |
ハワイで野生化したジャクソンカメレオン
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ククイはハワイ語で「明かり」という意味。実をココナツの葉の芯に串刺しにして、ローソクのように火をつけて使われていた。 学名 Aleurites
moluccana
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人間の定住 ハワイを最初に発見し、定住したのはポリネシア人です。ポリネシア人はハワイの多くの動植物同様、東南アジアを起源として、太平洋の島々へ広がっていったことはミトコンドリアDNAの研究で証明されました。高度な航海術を持った海洋民族ポリネシア人は、新天地での生活に必要な動植物をカヌーに載せて、今から約1300年前にマーケサス諸島から、その後約800年前にタヒチからハワイへ渡ってきた考えられています。ポリネシア人がハワイに持ち込んだ植物はタロイモ、パンノキ、サツマイモ、バナナ、マレーフトモモ、ココヤシ、サトウキビ、ククイなど26種類以上といわれています。これらは食料はもちろんのこと、建築材料、薬、燃料など様々な目的に使われました。これらの植物は現在では島中のいたるところに自生しています。ククイ( ハワイ油桐 )はハワイ州の州木に指定されています。実が沢づたいに流れて芽をだすククイは、ハワイの山を眺めたときに、谷の部分にほかの樹木よりも白い葉によって簡単に区別することができます。動物では鶏、ブタ、犬が持ち込まれました。ブタ、鶏は野生化し、野山に生息しています。犬は東南アジアに起源をもつ小型犬( イエイヌ )で、ペット兼食用でした。肉はおいしく、特に王族が好んで食べ、ブタ、鶏よりも高級とされていました。後にヨーロッパから入ってきた犬と交雑し、味が落ちて食べなくなり、ついには姿を消しました。 |
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外来種 英国の探検家ジェームス・クック船長は1778年アメリカ大陸への探検の途中にハワイを発見し、はじめてハワイへ上陸した西洋人となりました。このクック船長の上陸を境にして、ハワイは政治、経済だけでなく、生物相も大きく変わっていきました。現在ハワイで最も多く目にする動植物は1778年以降に人間によって持ち込まれたものです。持ち込まれた目的は、個人の観賞用、農産物、牧畜用として、森林再生、街路樹など様々です。そのほか、船の荷物等に偶然入っていたなど非意図的に持ち込まれものもあります。 |
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森林再生の目的でハワイへ持ち込まれたオーストラリアンユーカリ 学名 Eucalyptus
globulus |
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アウトドアクエストが提案する新しいハワイ旅行の楽しみ方 「環境問題」、「エコロジー」、「生物多様性」という言葉がメディアによく登場するようになりひさしくなります。今、先進諸国はいままで壊してしまった環境をどのように取り戻すかというテーマが語られています。ここハワイも当然例外ではなく、太平洋の真中にある小さな島が、世界の環境問題の縮図といえます。ハワイを訪れる人々の中には、「ハワイにはなにか人を癒す力を感じる」という人がいます。古代ハワイにはマナ(魂)という言葉があり、自然の中のすべてにマナが宿っているとされていました。自然の中で感じる力は、太陽、風、雨、空気から燃料を吸収した植物たちがそれをエネルギーに変えて放出しているのではないかとおもいます。古代日本にも自然崇拝があり、自然を尊重し、共存しようとする、古代ハワイと共通する自然観がありました。こういった自然観は、便利と楽を追求し、自然を征服しようという考え方の西洋文明の到来により、しばらくの間忘れられていました。こんなことを書いている私自身、毎日車を運転し、西洋文明の恩恵をおおいに受けながら、自然破壊に加担しているわけです。それでは車を捨て、今の便利な生活をすべて放棄し、古代の人間のように暮らすというのは現実離れした話しです。大きく考えればわたしたち自身も自然の一部であり、増えすぎた人類は自然淘汰の段階にあり、自ら絶滅の道へと進んでいたのかも知れません。最近になり、わたしたち人間には、健康な自然環境が必要であることに気づき、自然との共存の道を探りはじめました。地球に存在するすべての生き物には自然のサイクル内での役割が与えられています。わたしたち人間も何かの役割があるから存在しているはずです。ハワイの自然のエネルギーを感じながら、太平洋の小さな島と地球全体のつながり、自然と人間の生活の関わりなどを考えてみるというのも新しいハワイ旅行の楽しみかたではないでしょうか。 |
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参考文献 Atlas
of Hawaii Third edition Sonia P. Juvik and James O. Juvik著 University
of Hawaii Press出版 |
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